バトル

バトルをします。ネタバレ有

沈黙 サイレンス

失敗をしました。キセキなんか観ないで素直にこっち観とけばよかったのです。絶対に学習をしましょう。爆弾処理はあくまでボランティアなのです。

若造なので原作は未読。買いました。さっき。秘宝読み終わったら読みます。意識が低い。

スコセッシが遠藤周作をやるってんで当然期待はしますが、キリスト教とか日本史とか本当興味ないし、まあ言うてもハリウッドなんで変な日本描写もちょっとはあるでしょうしと思ってましたが、その辺の懸念完全に無意味だったので、なんか、さーせん。

スコセッシで一番好きなのは『キング・オブ・コメディ』(82)で、次いで『タクシードライバー』(76)か『グッド・フェローズ』(90)か『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)かって感じなのですが、下手したらKoCより好きかもしれん、いやどうだ?みたいな感じです。そんぐらい沈黙はやばい。KoCを再見してバトルさせる必要がある。

書いた通り、スコセッシ最高傑作候補です。お得意の裏切りも炸裂。宇多丸師匠も仰ってましたがスコセッシは毎回ユダ的なキャラクターが出てくるんですよね。しかもそいつの言動もわかるし感情移入できるから余計しんどい。そういうのがスコセッシっぽいと思います。単純な悪としても描けるのにそれをしないのさ。

これも宇多丸師匠が仰ってましたが、要所要所で入ってくるキリストの顔とキチジロー(窪塚洋介)の顔を寄せてきてるのは完全に意図的だしなんなら教徒役の日本人みんな結構意図的なキャスティングのような気もする。個人的には小松菜奈が良かったですね。『渇き。』(14)は完全にドラッグのメタファーとしての神的な役だし、『バクマン。』(15)も佐藤健がすがる女神的な役だし、『溺れるナイフ』(16)では無理して「普通」(このカギかっこは宇多丸師匠が言うところの「かっこ付き」みたいなもんだと思ってください)に染まろうとするアイドル(アイドルは直訳すると偶像、宗教的な意味)の役(つってもあの映画では神はフィリップなのですが。これは仮面ライダーWとも通じる)というトリッキーな描き方(山戸結城監督はアイドル的なるものを描かせると最強だと思う)をされており、どっちにせよ人並外れた存在感の持ち主なので、今回の貧乏な被差別者の百姓の娘(じゃねえのかな、描写されてない)みたいな感じの薄汚れた見た目でも「可愛い」「美しい」では形容しきれない存在感の凄みを感じる。どうでもいいですが私は彼女のファンです。蹴られたいというより『凶悪』(13)のリリー・フランキーみたいにスタンガン攻撃をされたい。んで小松さんがめっちゃ笑う。

バイオレンス描写も良かったですね。日本ではPG12で済んで良かったですね。向こうではR指定らしいです(ラッパーではない)。綺麗な庭園に赤いラインが引かさるのを檻の中から見る主観ショットがやばい。あと何と言っても逆さ吊りでしょうね。こわいよう。

この映画がピンとこなかった人は思考訓練としてキリスト教を海外から輸入されてきた文化に当てはめてみましょう。ヒップホップでもロックでもジャズでも洋食でも洋画でもいいです。俺ならヒップホップ好きがばれたら殺されるしそれでも聞きたかったら絶対ばれない状態でこっそり聴かなければならない、MPC1000なんて持ってるのばれたら家族も皆殺し、当然自分でラップしてみるなんて不可能、と思ったら死にそうになるでしょう。宗教なんてそれのもっと強い版でしょうからもう人生終わりです。NasIllmaticバイナルを踏んで割らなければ生きていけないんですよ。生きるために割ってもその後が超しんどいでしょう。だって罪悪感やばいしずっと仲間だったヘッズに裏切り者扱いされるわけですよ。しんどいでしょう。そういうことです。

というわけで大傑作でした。キセキなんて観てる暇なかったですね。ナイスバトル。